
パターンメーキングでは、ダーツの移動などの切り込みはハサミを使うのではなく、カッターナイフを使います。カッターナイフで切り込んでダーツを畳み、プッシュピンで留めてメンディングテープで貼りつけるという流れです。 このような作業で机を傷つけてしまわないように、専用のビニール板があります。厚さは6ミリで、傷がつきにくく耐久性があります。私は裁断台に敷きつめているほか、パソコンデスクにも敷いてちょっとしたカッター作業に便利に使っています昆明配资公司。緑がかった透過性の板なので、新聞の切り抜きやメモなどをはさんでおくことも出来ます。
以下に、パターンメーキングに必要な道具について列挙しておきます。
1.鉛筆と消しゴム カーヴを描くとき、直線定規を巧みに動かしながら鉛筆を沿わせていきます。シャープペンではすぐに先が折れてイライラしてしまいます。紙には2H、布にはHBがいいです。きれいなカーヴ線は一度では描けないので消しゴムは欠かせませんね。紙は白い上質紙を使います。切り込まれて展開された紙は上から清書する必要があり、下が透けて見えない茶色いクラフト紙は不可です。
展开剩余97%2.方眼定規 この定規には5ミリの方眼が引かれていて、縫い代をつけるのに大変便利です。慣れてくると鉛筆を使わずに定規にカッターをあてて縫い代を切ることが出来るようになります。この定規の特徴は薄いプラスチックで出来ていて簡単に曲がることです。これによって、衿ぐりや袖ぐりのカーヴ線を計ったり、袖山のカーヴ具合などをチェックすることも出来ます。30センチと50センチを用意します。
3.プッシュピン カッターナイフで切り開いた紙をテープで貼りつけるまで一時的に留めておく役目です。
4.メンディングテープ セロハンテープでは上から鉛筆がのらないので適しません。幅の広いものと狭いものがありますが、私は後者を選び節約しています。
2.ダーツとは?
ダーツ〈dart〉とは英語で、投げ槍とか、投げ矢という意味であり、洋裁では、布地を立体にあわせてつまんだ余分な分量をいいます。下の写真をご覧ください。左は、円を円すい状に畳んだものです。右はそれを開きました。このように、ダーツ分量を得ることが立体裁断のはじまりです。この例から、ダーツ展開の概略を解説いたしましょう。
[図 1] 円すいを平面にしたものです。これから、ダーツ分量APBをCに移動させる展開をしてみます。(正円だから回せばいいのですが、固定されているものといたします)
[図 2] 簡単ですね。CPを切り込んで、APをBPにつけるだけです。ただ、パターン操作の上で留意すべきことは、図1でCPを完全に切り離してしまわないことです。Pから1ミリは残しておいて、ダーツを閉じます。実際のパターン展開では、このように切り込みが1か所ではなく数か所に及ぶことが多く、うっかり切り離してしまうとバラバラになってやっかいなことになります。切り離さなければダーツが動かないこともありますが、できるだけつなげておくことがコツです。
ポイントが同じであれば、ダーツを自由に移動させることができるということが分かりました。では、ダーツの分散について考えてみましょう。下の写真をご覧ください。左は、円すいの頂点をつまんだものです。尖りがなくなって頂点が二つになりました。右はそれを開いたものです。円の中心で重なっていて、ダーツが2本に分散されています。1本ではダーツ分量が多いときには、このように分散して頂点をぼかすことができます。
[図 3] 二つのダーツポイントを結んだ線で切り離しました。
[図 4] 角張っているところをスムーズに描きます。
このような縫い目線を切り替え線と呼んでいます。単純なダーツをいかに切り替え線に仕込んでいくかによって、さまざまなデザインが生まれます。この図から何か思い浮かびませんか?そうです、ブラジャーですね。これほど簡単な形ではありませんが、このように上下2段で切り替えられています。むずかしそうなものも基本的には単純なことが分かります。
※このレッスンのテーマは3つありました。すなわち、ダーツの移動、分散、切り替え線 です。次回には、原型を使って少し実践的に説明いたしましょう。
3.ダーツのギャザー展開
立体から形を作り、得られたダーツを展開することによって様々なデザインが生まれます。その効果的な方法の一つとしてギャザーがあります。上のスタイル画は、学習のためのスタイルというぐらいにスタンダードなブラウスです。このパターン展開を通して、ダーツの移動、分散、切り替え線 を実践的に学ぶことが出来ます。
パターンには左右がありますが、展開は右側を使用します。左側を使った解説書もありますが、ドレーピングでは人台の右側に着せつけますから、いちいち平面で書き換えたのでは効率がわるくなります。では、図1をご覧ください。基本原型から展開するところです。まず、用語の説明をいたしますと、CF(center front)は前中心、CB(center back)は後ろ中心、BLはバストラインです。また、袖ぐりの合印(ノッチ)X、Yは、腕の運動の基点になり、身頃と袖との関係において常に基準となる重要なポイントで、カナメ(要)位置と呼ばれています。Yのノッチが二重になっているのはWノッチと呼ばれ、前後の区別を明確にするためです。
[図 1] 前身頃で、肩にある胸ダーツを一時的に脇に移動させる展開線をイ~ロとします。後ろ身頃で、肩ダーツ止りから後ろ中心まで水平に引き、袖ぐりに向かっては水平線よりもダーツ分量の半分下げて、切り替え線ハ~ニを引きます。このように下げておくと、縫い合わされたときに水平になります。
[図 2] 前身頃で展開線を切り込んで、イを基点に胸ダーツを畳んで、ロに開きます。切り替え線ホ~へを引きます。切り離す前に、合印a、bを入れます。aはホから2センチ、bはヘから1.5センチとします。このように、袖側にギャザーを少し寄せると切り替え線に対し自然な流れになります。abの中間をcとし、イから展開線を引きます。後ろ身頃で展開線を切り込み、肩ダーツを畳んで、ニに開きます。
[図 3] 前身頃で、脇ダーツを畳んで展開線を切り開きます。この切り開かれた分量がギャザーになりますが、この状態で、ギャザー線を描くのは大ざっぱになります。そこで、ダーツ分量を3分散します。その展開線をef、ghとします。hとfの間は指三本分で5センチほどです。ドレーピングの感覚を持つことが大切です。後ろ身頃で、ヨークを切り離します。
[図 4] 前身頃で、展開線を切り込んでダーツを3等分にします。切り開かれたダーツ口を結んで、その中点をスムーズにつなげてギャザー線を描きます。前後ヨークを肩線(SL)でつなげます。
[図 5] 前身頃で、描いたギャザー線の長さを計り、出来上がり寸法に対する倍率を求めます。ここでは、1.53倍でした。標準的なギャザー倍率は1.5倍ですからクリアですね。少ないとイセ込みのようになりますし、柔らかい素材であれば、もっと多くてもいいです。不足分があるときは、ギャザーの中ほどを垂直に切り開きます。 後ろ身頃で、袖ぐりから2センチ離して合印を入れます。そこから後ろ中心までの寸法に、前身頃で求めたギャザー倍率を掛けて、新しい後ろ中心線を引きます。ギャザーの距離が長いので、中間に合印を入れておきます。後ろ中心の二重の半円のマークは左右の身頃がつながっているという意味です。あとは丈を決めて完成です。ここでは、ヒップライン(HL)から5センチとしました。
.シルエットを作る
上写真は、トワル(綿布)で組み立てたスカート原型です。下図は、そのパターンです。今回は、このストレートなシルエットを変化させてAラインスカートを作ってみます。
[図 1] 展開線を入れます。まず、ダーツ止まりを結んで山なりに自然なカーヴ線を描きます。この線は腰骨にそうように描かれ、構成上の重要な線です。この線を腰山線と呼ぶことにします。つぎに、前後の第1ダーツ止まりから裾まで垂直線を引き、その線と脇線の中間にさらに垂直線を引いて、腰山線との交点をa、b、c、dとします。
[図 2] 腰山線をaからb、cからdまで切り込み、前後ダーツを畳む反動で、a、b、c、dを基点に裾をそれぞれ2センチずつ切り開きます。前後脇線では1センチずつ開きます。このように分散して切り開くことで、自然な広がりが得られます。
Aラインスカートの完成です。側面から見ても裾に広がりが出ていて歩きやすいスカートになっています。この例はタテ糸とヨコ糸が張り合ってシルエットが構成されていますが、切り開き分量をもっと多くすると、フレアースカートになります。
[図 3] もとの原型に完成したAラインスカートのパターンを重ねてみます。ダーツ分量が減少していることが分かりますが、その割合は、第1ダーツと第2ダーツとでは一定ではありません。これを○○式で製図するのは大変ですね。立体的に作られた原型を使って立体的な方法でシルエットを作りましょう!ということでした。
5.シルエットを作る+
シルエットを作ることはデザインの基本ですが、それだけでは面白味がありません。今回はシルエットに面白味を加えること(+α)をテーマにします。上の例題に挑戦していただきましょう。レベルは、パターンメーキング技術検定3級程度でしょうか。
まずは、スタイル画をしっかりご覧ください。土台となるシルエットはどうでしょう?Aラインですか、フレアーですか?タテ糸とヨコ糸が張り合って面が構成されたシルエットではないから、フレアースカートですね。
[図 1] 切り開き方法は前回のAラインスカートと同じですが、フレアーに見合った分量を切り開きます。a、b、c、dを基点に裾をそれぞれ6センチずつ切り開きます。前後脇線では半々にして3センチずつ開きます。
[図 2] 前後の脇側のダーツが、5、6ミリ残っています(x)。この分量を脇に引き込んで消化します(- x)。裾を開いたことによって、脇線がバイアスに近づいているので、この程度の分量であれば、無理なく消化することができます。もし分量が多く残るならば、裾の開き具合を多くして調整します。この原型は、後ろ中心で少しダーツ(r)をとっているので、直線にして、その分を中心側ダーツで削ります(- r)。
フレアースカートの完成です。フレアーの起点に注目してください。腰山線にそっているのが分かりますか。切り替え線は、このラインよりも上で切り替えるのが自然です。
[図 3] 前後スカートに切り替え線イ~ロ~ハ、ニ~ホ~ヘを入れます。裾のハ、ヘはフレアーを開いた中間になります。
[図 4] 切り替え線でパーツを切り離します。それぞれのパーツには合印を入れます。前後の区別がつくように、後ろは二重の合印にしておきましょう。脇パーツを脇線でつなぎます。このとき、腰に少量のダーツが生じます。
[図 5] ロ、ホを基点に前後パーツのダーツを畳みます。脇パーツで、ギャザーの展開線を前後線から脇線までの間をそれぞれ2.5等分するように入れ、A、B、C、Dとします。脇線に生じた腰ダーツは畳んでB、Dに分散しておきます。
[図 6] 脇パーツの展開線A、B、C、Dを切り込んで、前後それぞれ、イ~ロ、ニ~ホの長さの1.5倍になるように裾を基点にギャザー分量を等分に開きます。
[図 7] 切り開かれたギャザー分量の中間を目安にして、スムーズに引き直します。
完成です!いかかですか?ご理解いただけましたか。脇パーツに加工プリーツなど使っても面白いですね。プラスアルファはあなたのアイデア次第です。デザインを自在に広げてください。
6.考える楽しさ
■作り方を見つけることは、パズルを解くような楽しさがあります。考える楽しさ…。左のようなドレープを寄せたスカートはいかかでしょう。単純なダーツの移動や切り替え線を使う展開からは想像がつきませんね。クリエーターを目指すのであれば、これから数多くの解答のないパズルに直面することでしょう。そのときのための、ささやかな標(しるべ)となることを願いつつ、パターン展開の一例を示しましょう。
[図 1] スタイル画のイメージに合わせて、前中心ウエストから第1ドレープ線(赤)を描きます。腰山線(青)を引き、ダーツを畳む展開線とします。
[図 2] ダーツを畳んで、脇線に切り開きます。切り開かれたダーツ線の上側をA線、下側をB線とします。
[図 3] ウエストからA線に向かって適当な間隔をあけて第2、第3ドレープ線を描きます。第1ドレープ線と腰山線との交点をイとし、第3ドレープ線とA線との交点をロとします。
[図 4] イを基点に、ロがB線に接するまで脇ダーツを畳み、第1、第2ドレープ線にダーツ分量を均等に切り開きます。
[図 5] ロを基点に残りの脇ダーツ分量を畳み、第3ドレープ線にウエストダーツ分量を切り開きます。
[図 6] 脇線から第1ドレープ線の止まりに向かって、図のようなガイドライン(青)を描き入れ、その線上に、第2、第3ドレープ線の止まりを求めます。各ドレープ止まりから脇線まで水平に展開線を引きます。
[図 7] 展開線を切り込み、各ドレープ止まりを基点に脇線を畳む反動で、それぞれ、ウエストダーツ分量が3センチずつとなるように切り開きます。カーヴした脇線は、直線で引き直します。
7.ホントかな?
[図 1] ウエスト、サイドダーツを分散するギャザー展開です。図のように展開線(赤線)を引き、ウエストラインに均等に切り開きながら、サイドダーツを畳みます。
[ホントかな?] いいえ。一見、それらしくはみえますが、袖ぐりに何の変化もなく、局所的な分散になっています。これを組み立てると、袖ぐりのユルミとギャザーが流れがつながらず、アームホールが歪んでしまいます。
[図 2] サイドダーツを袖ぐりに移動させ、ギャザーの流れを考え、バストポイント(イ)から前中心線に向かって展開線を引きます。図のように展開線(赤線)を引き、イからロまで切り込んで、ウエストダーツをa、bに分散し、c、dを切り開きながら袖ぐりダーツを畳みます。切り開き分量が均等になるように調節します。
[ホントかな?] ホントです。この展開は、ダーツの分散に連動して袖ぐりが変化していきます。これによって、袖ぐりのユルミがギャザーに合流して肩先からウエストまで自然なドレープが形成されます。
[図 3] 図1の展開に図2のアウトライン(赤)を重ねてみました。袖ぐりがちゃんとギャザー展開に参加していますね。
[論より証拠] 完成トワルです。
1.ユルミの入れ方
ブラウスやドレス類に対して、その上に羽織るジャケットやコート類はアウターと呼ばれています。上に着るためにはユルミが必要になります。そのユルミの入れ方のワンポイントです。 アウターを作る効果的なユルミ入れ位置は、前後面と側面の角にあたる前後ウエストダーツの位置です。ここから斜めに袖ぐりの中ほどまでつなげて展開線を切り開き、肩先から自然なドレープを作ります。下図は、それにしたがって、身頃と袖に0.5センチずつのユルミを入れたところですが、これでOKでしょうか。
いえ、まだ足りない作業があります。もっと、立体的に考えましょう!というのが、第1回目のテーマです。
答えは
2.袖山のイセって何?
上腕のまるみにそわせながら、袖筒をアームホールにつけようとするとき、肩山にそって余ってくるのが袖山のイセ分量です。
イセ分量は袖山とアームホールの寸法差から求めることができますが、この差を上腕のまるみを作るための必要分量とすると、下図のように、その分を身頃で切り開いても同じことになりなませんか。これによって、袖のイセは解消され、身頃から袖山につづくドレープとなりますが、機能的には同じです。しかし、このままではデザイン的には、ちょっと変ですね?
答えは
3.袖山を低くしたら袖ぐりを下げる
袖山の低いカジュアルな袖は基本原型と比べて袖下線が長くなるので、腕を下ろしたときにだぶついて腋の下を窮屈にしてしまいます。
下右イラストは、腕を下げたときに布がだぶついた状態のイメージです。このとき、袖下線の長くなった分すべてが腋の下に余るのではなく、半分はbのように下に逃げてたるむと考えられます。ここで問題となるのが、a分量です。この分量は往復ですから、袖ぐりにかかる分量はその半分になります。したがって、基本原型との寸法差を4センチとすると、aで下げるべき分量は(?)となります。
答えは
.袖底の上げ方
下図[A]と[B]の袖山を比較してみてください。同じように袖底を上げて袖山を低くしているようですが、[A]は頂上から跳ね上がっているのに対し、[B]は原型の袖山をなぞりながら次第に袖底を上げています。袖角度を大きくしたいならば、[A]のような製図をすべきですが、セットインスリーヴの表情を見せながら、袖底で上げた分がマチの役目を果たし、腕の運動を楽にさせたいのであれば、[B]になります。
Lesson2で、袖山のイセの解消と袖山を低くすることの関係を解説いたしましたが、[B]の場合はどうでしょう。
答えは
5.アームホールから袖が作れる?
またまた、「袖」になりましたが、今回のテーマは、平面から立体を考えるレッスンです。下の写真は、身頃の袖ぐりのユルミをよけておいて、トレーシングペーパーにアームホールを写したところです。これを利用して、袖原型を作ることができます!
このアームホールは、腕の前方向性のため、水平なバストラインに対して少し後ろに傾いた楕円になります。このため、カナメ(要)の位置と呼ばれる前後の腕つけ根、xとyを結んだ線は水平ではなく後ろに下がります。袖ぐり下Oからxyに対して垂直に袖山線を引きます。この線は肩先Pから少し後ろにそれます。右下は、トレースしたアームホールを筒状に置いたところです。どこがどうなると腕の形にふくらむでしょうか。考えてみてください。
答えは
6.肩傾斜の変化
近ごろでは、肩パッドはあまり使われなくなりましたが、ジャケットであれば薄いパッドをつけた方が袖つけが安定します。下図は、厚さ0.6センチの肩パッドをつける展開です。肩パッドの形状に合わせ、身頃のダーツから分散させて切り開きます。袖では、肩パッドの厚み分を切り上げ、その半分ずつを前後折り山線で切り開いています。
このような肩パッドをつける展開は身頃と袖でなされますが、これが補正だとしたらどうでしょう。体格がよく肩のしっかりした女性にはこのような補正が必要になるでしょう。しかし、肩が高いということは、袖山が高く、厚みもあるということになるでしょうか。
答えは
7.シンプルな形ほどむずかしい
下図は、身頃から裁ち出されたごくシンプルな直線的な袖です。キモノスリーヴの丈の短いもので、フレンチスリーヴと呼ばれています。
簡単に製図されているように見えますが、このような直線裁ちのものにこそ、立体的な考え方が必要です。そのような展開とは?
答えは
8.バストフィット
基本原型[A]はスカートに合わせて垂直に作っているため、シルエットはボックス型になり、胸ダーツ止り(a)は、本来の位置よりも1センチほど外側になっています。仮に、[B]のように、このダーツ止りを本来の位置(b)に戻そうとすると、ウエストでネジれてしまいます。それでは、ヒップ寸法をカバーしながら、いかにバストにフィットさせるかというのが今回のテーマです。
答えは
9.バストフィット(その2)
今回は、切り替え線を利用して、バストにフィットさせる展開をご紹介いたします。
下図[A]で、カーヴさせた切り替え線(青)を描き、原型のウエストダーツを分散します(ウエストに1センチ引き込み、残りを袖ぐりと切り替え線で等分にします)。[B]で、前脇パーツを切り離してウエストダーツを畳み、胸ダーツを畳んで切り替え線にダーツを移動させます。ここからが、バストにフィットさせる展開です。基本的には前回と同じです。
答えは
10.ウエスト寸法の補正
ウエスト寸法をもう少しゆるめたい、そんなときの補正方法をご紹介いたします。ポイントは全体のバランスを崩さないこと。
下図は、ジャケットのウエストを広げようとしているところです。まず、脇で出すことは思い浮かぶでしょう。それでは、前後脇でX分量ずつ出してみます。しかし、これではユルミが分散されず、全体的に大きくなったとはいえません。前後の切り替え線でも出しましょう。その分量は?
答えは
3.使える原型とは従来の原型は、スカートと身頃をウエストでつなぎ合わせますが、パターンメーキングの効率を考えると、上下は単独なものにして、スカートのヒップをカバーするように、ストレートな身頃を作るべきです。 このように作っておくと、スカートと身頃の寸法差を念頭におきながら、パターン展開することができ、原型が基準としての役割を果たすことができます。
■原型は原点であるべきと考えます。プラス、マイナス、いずれの方向にもいくような形にしておきます。
[図 1] バストラインおよびヒップラインを水平に、前後中心線および脇線を垂直に作ることで、パターン展開にあたって、幅や丈をどれくらい出すか、どれくらい狭めるかなどの判断が容易になります。
トワル
[図 2] 人台にそわせてウエストをしぼり込み、ダーツ分量を得ます。
■このようにしてダーツ分量を得ることで、活用範囲が一層に広がります。ウエストダーツを畳むとアワーグラス、開放するとボックス、というように両極を包括できれば、ドレッシーにもカジュアルにも幅広く対応できます。
トワル
■展開の一例として、この原型からプリンセスラインに変化させてみます。
[図 3] シルエットを作りやすいように、ウエストダーツを分散させます。脇ウエストで前後1センチずつ削り、その分を原型のウエストダーツ分量から減じて、残りを前後それぞれで、プリンセスラインと、袖ぐりから下ろした垂線で等分にします。
[図 4] プリンセスラインでパーツを切り離し、ウエストダーツを畳みます。このとき、後ろ脇パーツの裾では、前後のユルミが同じになるように、スカート原型との寸法差を余分として畳みます。
4.基本シルエット服飾デザインの基本は、土台となるシルエットを決めることです。多種多様に見えるシルエットですが、ウエストをしぼる、裾を広げる、肩幅を出す などの加減によって作られ、基本的に5つのシルエットに分類することが出来ると考えます。ファッション史におけるラインにならい、これらを8ライン、Iライン、Yライン、Aライン、Hラインと名づけてみます。それぞれの英数字の形からイメージしていただけることでしょう。
※パターンをクリックすると、別ウインドウで完成トワルがご覧いただけます。
1.平凡からはじめましょう
ファッションにおいて、平凡と言われることは才能がないと言われることと同じで、だから、デザイナーは、オリジナリティーを発揮しようと必死になります。
しかし、着るものというのは人という対象があって、他のアートのように完全に自由ではありえません。平凡を軽視して、クリエイティブであろうとするのは、根のない観葉植物みたいなもので、長続きしません。
そこで、平凡を見直してみませんか、という普通の提案です。
まずは、ジャケットの平凡なライン(切り替え線)として、4つ取り上げました。
何もないところから、アイデアを発揮するのは大変なことですが、「4つの切り替え線から発展せよ」という課題があれば、色々と面白いものが浮かんできそうですね。ここから発展させるデザインの広がりは無限です。そのためには、しっかりとした土台を作っておきたいものです。
※衿ぐりのユルミはテーラードカラーの折り返りのために必要な分量です
■ジャケットの基本ライン
■プリンセスライン
構造的に自然な切り替え線です。ダーツ分量の処理に頭を悩ませることもなく、すべて消化されます。
■カーヴライン
バストポイントに向かって小さなダーツをとるのはちょっと野暮(?)なので、イセで処理することにすると、その分量が多くならないようにしたいものです。
■テーラードライン1
ノーダーツのテーラードラインです。テーラードの前切り替え位置は、バストから遠く脇寄りになるので、胸ダーツの処理に悩むところですね。では…
■テーラードライン2
しっかりと脇ダーツをとって、高さのあるバストを作ります。1に比べると、前ウエストダーツが中心側に移動されていて、バストポイントが強調されてセクシーです。
2.腕の形を作る
美しい袖というイメージを持ちましょう!
イメージがあれば、その袖に近づくように努力するものです。
美しい袖は、袖幅と袖山の高さのバランス、袖山のカーヴ形状、イセの配分、振りの度合い等、複合的な要素が満たされて出来上がるものです。
イメージに合わないものが出来てしまったときには、それらの要素を吟味し、反省し、再挑戦をくり返します。
スキルとは、そのようにして身につくものと思っております。
私のイメージにある美しい袖は…
シャープでありがら、セクシー!
そのための決め所は、後ろ二の腕の適度なふくらみ、前腕の自然な弓なりのカーヴにあります。
たった一本のダーツと袖下線で構成される一枚袖でも、そのイメージに近づくことが出来ます。
■一枚袖のバリエーション
① 肘ダーツ
初歩的と思われていますが、ダーツ先が尖って、肘のラインを崩していませんか?
② 袖口ダーツ
肘ダーツの単純な移動ではありません。袖口に開らかれるダーツ分量を少なくして、なだらかな肘のラインを作ります。
③ 後ろ袖山ダーツ
後ろ袖山から肘にかけてのダーツです。このダーツ線をふくらませて描くことで、二枚袖に近い後ろ二の腕のふくらみを出すことが出来ます。
■二枚袖
地の目線 A・B
地の目を変えると出来上がりが違います!
A(青)は、もとの原型の地の目で、B(赤)は、袖口で1cm振っています。
このように、地の目を振ることは、テーラードのようにかっちりとさせたいときにはよいのですが…。
地の目を振ったBは、袖山のタテヨコの地の目が変化して、Aに比較して前振りの度合いが多くなって硬い感じになります。
この袖(B)は、「私のイメージにある美しい袖」とはちょっと言えないので、前振りを調整し、袖山の厚みを薄くしてみました。
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